黒札 第一話 東雲流再興への妄執

山王機関本部さんのうきかんほんぶ

喪神もがみ梨央りお
兄さん、
赤坂界隈かいわいでセヒラを観測しています。
強くなったり弱くなったり……
何だか不安定な様子ですね。
こんなの、初めてです!
念のため巡視パトロールをお願いできますか。
本部で観測は続けます。
場所は……
溜池通ためいけどおり、赤坂見附電停近くです。
――十分に気をつけてください。

溜池通ためいけどおり

溜池通ためいけどおり電停付近。
何系統もの市電が行き交う要衝ようしょうである。

丁稚でっち
お兄さん! オイラ、見たんだよ!
怪人だよ! 怪人が出たんだ!
どっかそのへんだよ……

問屋とんやの使用人】
なんだぁ……おい!
今日はやけにまぶしいな!
天道様てんとさまがいくつも見えるぅ~

【着信 喪神もがみ梨央りお
ぃ……
黒ノ八号帥士くろのはちごうすいし
近くでセヒラ濃度が上昇しています!
セヒラ探信儀たんしんぎを使ってください。
怪人の居場所いばしょを発見できます!

問屋とんやの使用人】
きゃはははははは!
俺はなぁ、力を得たんだ!
力だ力だ力だ、きゃはははは!

《バトル》

問屋とんやの使用人】
ううう……
どうしたんだ……俺は……
もう夜か……辺りがやけに暗いぞ!
【着信 喪神もがみ梨央りお
黒ノ八号帥士くろのはちごうすいし……
その辺のセヒラ濃度は下がりました。
ところで――
鈴代すずよさんに会いませんでしたか?
赤坂に出かけたんです!
清水谷公園しみずだにこうえんで、
古い知り合いに会うとか……
気になります、向かってください!

清水谷公園しみずだにこうえん

ここは清水谷公園しみずだにこうえん
如月きさらぎ鈴代すずよが誰かに呼び出されたという。
平素へいそは人影もまばらな静かな公園だ。

【着信 喪神もがみ梨央りお
清水谷公園でもセヒラ濃度が――
けど……おかしいなぁ……
セヒラ濃度が分散しています。
これって……
近くに複数の怪人がいる――
その恐れがあります!
黒ノ八号帥士くろのはちごうすいし、注意してください!

【呉服屋の若旦那わかだんな
おやおや……
今日はお日柄ひがらもよござんすね!
お兄さんもお散歩ざんすか?
それではひとつ野辺のべのお散歩にでも
まいりましょうか!
四月は残酷ざんこくな季節と言いましょか……
心地よい冬籠ふゆごもりから目覚めると
つらい現実があるのみですな!

《バトル》

【着信 喪神もがみ梨央りお
ぃ……
黒ノ八号帥士くろのはちごうすいし、ごめんなさい……
――セヒラ探信する前に
怪人に襲われることもあるんですね!
清水谷公園ですが……
まだセヒラ濃度が高いままです!
近くに……誰か人がいませんか?

はかま姿の女】
あら! さっきのレディって……
あなたの許嫁いいなずけさんかしら?
素敵ね! あんなレディとデート?
なんてうらやましいこと!
【着信 喪神もがみ梨央りお
黒ノ八号帥士くろのはちごうすいし
今、誰かが近くにいますか?
濃厚なセヒラを感知しています!
セヒラ探信儀を起動してください!

はかま姿の女】
ふふふふ……
アタシの正体知ったわね!
じゃあ、アタシに力を見せてごらん
どんな犬にも出番はある……
そんな言葉、あんたはご存知かしら!

《バトル》

はかま姿の女】
あんた、なかなかやるじゃない!
でも、アタシは、すぐに復活できる!
あんたを……近づけないようにって
そう言われたから手を貸しただけ!
また近いうちにお手並み拝見はいけんね!

【???】
ずいぶんと力を付けたようだな、
喪神もがみ風魔ふうま
さすが帆村ほむら流だな!

小森こもり時夫ときお
この小森こもり時夫ときお東雲しののめ流の
修練を積んだんだ。
――俺は諦めないぜ!
ちょいと怪人をいたぶってやった。
銀河ぎんがゼットーの所から逃げた
回収を手伝ったのはこの俺だ!
――力は、あるんだ。
如月きさらぎ鈴代すずよ、あの女さえ認めれば
東雲しののめ流はすぐ復活できるんだ!
あの女が勝手に流派を閉じやがった!
そんなこと、俺が許さねぇ!
まずはお前を始末してからだ!
帆村ほむら流がどれほどのものか、
とくと拝見しようじゃねぇか!

【着信 喪神もがみ梨央りお
いきなり強いを繰り出してくることも
考えられます!
相手の出方をよく見てください!

《バトル》

小森こもり時夫ときお
ちょっと早まったようだな!
ふふふふふふ……
まだ計画は始まったばかりだ!
次は手抜てぬかりなく準備して出直すぜ!

如月きさらぎ鈴代すずよ
風魔ふうまさん! よかった……
突然、小森こもりに呼び出されて――
私……ごめんなさい……
小森こもりはうちの御用聞ごようききだったの……
でもまさか……
東雲しののめ流の使い手だったとは……
小森こもりは私から何かを引き出そうと
そう企んだのでしょう。
私が霊異りょういを現すように仕向ける……
そうすれば東雲しののめ流が再興するとでも。
私にはもう無理なのです――

審神者さにわにおけるもうひとつの流派、
東雲しののめ流は鈴代すずよの強い意志により
現在は閉じられている。
帆村ほむら流ただひとつが審神者さにわの流派として陸軍第一連隊に請われ山王さんのう機関が設立された。
それをこころよく思わない連中が、
存在することは確かである。