伊豆の想い出

〔調整室〕

銀河ぎんがゼットー】
再び我が夢玄器むげんきを試すのだな!
よぅし! 準備はいいな、勿論もちろん!!
さぁ、夢玄器むげんきを着けるのだ!!

〔思念空間〕

梨央りおは、姉淑子としこを伊豆に見舞った時のことを、思い出していた。
淑子としこは肺病で修善寺しゅぜんじのサナトリウムにいた。

喪神もがみ梨央りお
朝、八時一〇東京発の省線沼津行き、
それが私たちの乗った電車です。
秋晴れの朝でした――
汽車の煙が真っ直ぐ上っていました。
私が尋常じんじょう五年の時です。

電車は三島に十時十分に着き、
三島から駿豆すんず鉄道に乗り換え、
修善寺しゅぜんじに着いたのはお昼前でした。

――姉さんとは久しぶりだったから、
色んな話をしました。
先生は病気は亢進こうしんしたと言いましたが姉さんは元気そうでした。

でも、姉さんはオウルグリルのこと、
すっかり忘れていたんです。
三人で通った溜池通ためいけどおりの洋食屋さん……

思念空間が白く輝き、梨央の姿をかき消したが、程なく元の状態に戻った。

喪神もがみ梨央りお
伊豆から戻った次の日、
私、確信したんです――
サナトリウムで会ったのは、
淑子としこ姉さんじゃないって。
誰か別人だって――
姉さんの左手の甲には
小さな黒子ほくろがあるんです。
でも、あの人にはありませんでした。

〔東京駅〕

夢玄域には東京駅が姿を見せた。鉄道が好きな喪神梨央の思念から繋がった。

麻美マーメイ
ここは省線の東京駅ですね。
梨央ちゃんは鉄道が好きなんですね。
満鉄のこともよくご存知です――
駅には大勢の人が出入りします。
そのため残留思念も多くあります。
十分に気をつけてください。

《バトル》

〔思念空間〕

喪神もがみ梨央りお
私、この間、兄さんが、
オウルグリルから出てくるところ、
見かけたんです――
きっと淑子としこ姉さんのこと……

――お姉さん……
いつ、どこで亡くなったんですか?
私はまだ子供だったから……
兄さんならきっと――