第六章 第三話 タクシーの新怪人

〔山王機関本部〕

その日、山王さんのう機関は朝から慌ただしい空気に包まれていた。第一連隊の部隊が出動したのである――

喪神もがみ梨央りお
兄さん、歩一から三部隊が出動です。
六十八、一〇八、一六三の部隊です。
赤坂見附あかさかみつけ封鎖ふうさされています。
一般の通行はできません。
隊長は参謀本部へ――
朝の四時から会議だそうです。
【九頭幸則】
遅くなって悪い、状況調べるのに
やけに時間がかかってしまって――
なんせ、車投げる怪人が、
何人も同時に現れたんだ。
赤坂見附あかさかみつけ四谷見附よつやみつけ市ヶ谷見附いちがやみつけ
軍はこれら交差点を封鎖ふうさしたぞ。
宮城きゅうじょうへの経路を塞いだ。
【喪神梨央】
じゃ、怪人は?
――今、どこにいるんですか?
セヒラ、お堀に沿ってずーっと――
【九頭幸則】
ずーっと観測するのかい?
【喪神梨央】
ええ、そうです――
幸則ゆきのりさん、セヒラが、
繋がっているんですよ!
【九頭幸則】
ええ、そんなに?
じゃ、怪人が数珠じゅずつなぎってこと?
【喪神梨央】
怪人になりそうな人もいるのでは?
【九頭幸則】
風魔ふうま市ヶ谷見附いちがやみつけだ。
怪人を宮城きゅうじょうに行かせてはならん!
【喪神梨央】
公務電車の通行は可能です。
市電三番の経路を使います。
――お気を付けて!

〔市ヶ谷見附〕

公務電車で向かった市ヶ谷いちがやは、確かに軍の車両が道を封鎖ふうさしていた。兵も展開して物々ものものしい雰囲気だった。

【九頭幸則】
おい、なんだこりゃ!
さっそく、怪人のお出ましだ!
【山村一等兵】
中尉殿!
歩一第六十八中隊の山村であります!
怪人、まったく手に負えません!
【米田曹長】
同中隊、米田です!
特務中尉、鎮定ちんていをお願いします!
通常の兵力では、
とても太刀打たちうちできません!
燐寸マッチ商】
おい!
大変だ、怪人と目が合ったぞ!!
逃げろ!!

【苛立つ男】
くそっ!
この車は違うじゃないか!
今日はこれで三台目だ!
どこにいやがるんだ――
【召喚小隊御神楽みかぐら曹長】
貴様!
帝都の怪人、一体残さず鎮定ちんていだ!
歩三召喚小隊御神楽が相手する!!
【九頭幸則】
歩三の部隊か!
【召喚小隊御神楽みかぐら曹長】
そうであります、中尉!
今から怪人鎮定ちんていを行います!
【苛立つ男】
あああ、すっかり気分が晴れた……
さぁ、散歩を続けよう!

【召喚小隊御神楽みかぐら曹長】
――あなたは……
山王さんのう機関の機関員の方ですね!
それと歩一の中尉――
【九頭幸則】
歩三にも出動命令があったのか?
【召喚小隊御神楽みかぐら曹長】
参謀本部からあったと聞きます。
自分は鬼龍きりゅう隊長からの命令で。
【九頭幸則】
それで、怪人は何人も出たのか?
【召喚小隊御神楽みかぐら曹長】
今朝から六人です。
連中、例の銀座幻燈会げんとうえの客です。
何でも大きな会場でもよおされたとか。
ただ、何人もが同じく車両を投げる、
それがせません。
我が隊、飯田橋いいだばし方面に向かいます。
ご武運、お祈りします、中尉殿!

【九頭幸則】
何で車投げるのが、
ここにきて急に流行はやりだしたんだ?
【着信 喪神梨央】
黒ノ八号帥士くろのはちごうすいし
辺りのセヒラ、まだ下がりません!
警戒してください!

【猫き】
ニャ~ニャ~……
おいら、追い出されるニャ~
おいら猫の又次郎またじろうニャ!
神楽坂かぐらざか女将おかみ
電車通りを散歩していると、
何だか急にむしゃくしゃしてきたの!
おかしいわね……
普段、こんなことないのに!
ここで発散するのも悪くないわね!

《バトル》

神楽坂かぐらざか女将おかみ
何だか気のせいかしら?
まぁいいわ、これで失礼するわ。
【九頭幸則】
怪人になって間がないって感じか。
歩三が飯田橋いいだばしに行くんだ、
俺たちは逆の四谷よつやに向かおう。

〔四谷見附〕

【九頭幸則】
狙いは的中てきちゅうか?
怪人の奴、いやがったぞ!
【召喚小隊斑鳩いかるが軍曹】
お静かに、中尉!
怪人はこちらに気付いていません!
【憎しみをたぎらす男】
はぁはぁはぁ……
こいつは、こいつは……
新怪人じゃない、ただの車だ!
【召喚小隊斑鳩いかるが軍曹】
貴様!
召喚小隊召喚師が鎮定ちんていする!!
【憎しみをたぎらす男】
どういうことですか?
私を鎮定ちんていするとは……
あははは、なかなか愉快です!
【九頭幸則】
軍曹ぐんそう! 気を付けろ!
【憎しみをたぎらす男】
私は君たちとは違う。
憎しみの年月がね、ひときわね、
長いんですよ!!
【九頭幸則】
軍曹ぐんそう
しっかりしろ!
【召喚小隊斑鳩いかるが軍曹】
うう……
そ、そんな!
自分の召喚術が効かないとは――
【憎しみをたぎらす男】
私は新怪人を探すのです。
なんでも車に姿を変えているとか。
【九頭幸則】
新怪人?
そんな奴がいるのか?
【憎しみをたぎらす男】
車に変身しているのです。
いや、他の物に変身しているかも
知れませんがね……
【九頭幸則】
それで車投げて調べてるのか。
みんな、新怪人を探しているんだな?
【憎しみをたぎらす男】
新怪人の方が、
いろいろ楽しそうじゃないですか!
怪人になってもう三年。
次の段階ステエジへ進もうと、
そう決めたのです。
ああ、また力が戻ってきた!
邪魔立てするなら、
容赦ようしゃしませんよ!
【九頭幸則】
風魔ふうま、こいつ、本気だぞ!

《バトル》

【憎しみをたぎらす男】
どうしたんでしょう……
私の中から、憎しみが……
――ああ、消えていく……
【着信 喪神梨央】
黒ノ八号帥士くろのはちごうすいし
昨夜、若松町わかまつちょうで怪人らしきを見たと、
通報がありました。
【九頭幸則】
新怪人がいるそうだよ。
車とか物に変身するんだそうだ。
その通報は、入ってる?
【着信 喪神梨央】
いえ、ありません、一般中尉。
変わった波形も観測されません。
若松町わかまつちょう、気になります。
念のため、向かってください。
現地で夜まで待機です。
一般中尉も同行されますか?
【九頭幸則】
何だよ、その一般中尉って――
どうせだ、俺も行く。
公務電車をお願いするよ。
【着信 喪神梨央】
飯田橋いいだばしまで上って、
十三番の経路で若松町わかまつちょうへ向かいます。
留置線で待機してください。

〔若松町〕

怪人らしきは夜に現れるという。風魔ふうま九頭くず若松町わかまつちょうで待機した。
――やがて夜になった。

【猫き】
ニャ~ニャ~……
おいら、徳次郎とくじろうの友達ニャ!
おいら、桃次郎ももじろうニャ!
この人、さっき飯田橋いいだばしにいたニャ~
んで、隙間すきま作ったニャ、
あのままじゃ怪人になるニャ!
【九頭幸則】
ん? どうしたんですか?
飯田橋いいだばしに何がありましたか?
【猫き】
お堀の周りをぐるぐる回る、
あやかしがいるニャ!
そいつのせいで、隙間すきま作る人、
増えてるニャ!
俺達、協力して隙間すきまめるニャ。
みんな次男、猫の次男会ニャよ!
この近くにはニャ、
おいらと徳次郎とくじろう
それと又次郎またじろうがいるニャ!

【九頭幸則】
何だこのタクシーは……
誰も乗っていない!
――おお! こいつか、新怪人は!
【猫き】
気を付けるニャ!
――あやかしニャ!

恍惚こうこつとした男】
僕は……僕は……
人に悟られちゃダメなんだ!

《バトル》

恍惚こうこつとした男】
僕は……円タク……
――食うものも食わずに金を貯め、
円タクに乗った。何度も、何度も……
【九頭幸則】
今のタクシーに乗ってきたのか?
恍惚こうこつとした男】
違う!!
あれは、僕だ! 僕自身だ!
僕がタクシーなんだ!
初めて円タクに乗ったのは、
桜の終わる頃だった。
四谷見附よつやみつけで乗り、赤坂方面へ――
溜池通ためいけどおりを下り、虎ノ門、新橋、
銀座の柳を見ながら神田かんだへ上り、
上野広小路うえのひろこうじを経て春日町かすがちょうから、
宮城きゅうじょうのお堀をめぐるようにして、
飯田橋いいだばしを経て四谷見附よつやみつけへ戻る――
僕はこれを五周もしたんだ。
【九頭幸則】
そんなにタクシーが好きなのか?
恍惚こうこつとした男】
何度も円タクに乗るうちに、
タクシーが僕にとって、
特別なものに思えるようになった。
そんなとき、ある小説に出会った――
一人の男が大きな肘掛ひじか椅子いすの中を
生きる場として選ぶ話だ。
みじめな生活しか能のない男が、
椅子の中へ入ると、表では口を
ことすら叶わない麗人れいじんに接近して、
その声を聞き肌に触れられる。
椅子の中の恋。触覚と聴覚の恋。
その不思議で陶酔とうすい的な魅力――
僕の目前で天啓てんけいひらめいたよ。
僕を魅了みりょうしてまないタクシーなら、
もっと強烈な体験ができると。
僕のこの身体をタクシーに変え、
その内側に麗人れいじんを乗客として乗せる。
――この妄想に僕はわれを忘れた。
麗人れいじんが僕の身体の内に腰を下ろし、
僕の身体の窓枠に手を添え、
僕の身体にさぶられて帝都を走る。
僕は僕の身中に麗人れいじんを取り込む。
麗人れいじんは僕の身体のフワフワのシートで
うたた寝をしながらやがて溶ける。
そのとき僕たちは真に合一ごういつする――
嗚呼、この蠱惑こわく的にしてなまめかしい
魔術こそが僕を高みに導く。
【九頭幸則】
でもなぁ……
どんなに強く思っても、
タクシーに姿を変えるなんてな……
恍惚こうこつとした男】
それができたんだよ!
十日前、身体の節々ふしぶしが痛くて、
朝早く、暗いうちに目が覚めた。
するとどうだ、僕は四つんいの
姿勢のまま電車道をしたんだ!
これまでにない速さでだ!
僕はタクシーになっていた。
商店のウィンドウに映る僕は、
すっかりタクシーの姿だった!
【九頭幸則】
もしそうだとして、
客はどうしたんだ?
客を乗せたのか?
恍惚こうこつとした男】
それがちっとも!
そもそも道端でタクシーを
停めるという麗人れいじんはいない。
ああ……どのみち、もうお仕舞しまいだ。
僕は元に戻ってしまった。
みっともない姿の僕に……
もう、僕には絶望しか無い。
妄想ほどめて辛いものはない。
――これが夢なら気が楽なのに!

【内田百間】
なかなか面白いですね、
無人の車ですか。
運転手のいない車……
【九頭幸則】
百間ひゃっけん先生ですね、
今のはタクシーにせられた男です。
【内田百間】
いいではないですか!
実に素晴らしい着想です。
無人のタクシーですね……
私はね、何気ない日常にこそ、
小説のヒントを見出すのです。
ではまた――
【九頭幸則】
これは日常じゃないよなぁ、風魔ふうま
さぁ、戻ろう――

〔山王機関本部〕

【帆村魯公】
タクシーに妄執もうしゅうするがあまり、
とうとうタクシーになってしまった、
そういうことなんだな?
【喪神梨央】
セヒラの波形、不思議な形でした。
タクシーから怪人になった時は、
の怪人波形でしたが……
【帆村魯公】
普通の怪人とはな!
いやぁ、また面倒が増えそうだ。
こういうことは伝染するからな!
【喪神梨央】
新怪人がお堀の周りを回ったので、
怪人になった人もいました。
【帆村魯公】
妄想とセヒラ、
実に由々ゆゆしき問題だ。
セヒラの影響を一切受けずに
生きていくというのが
なんだか難しい世の中になったなぁ。

第二章 第四話 妖怪大戦

山王機関本部さんのうきかんほんぶ

喪神もがみ梨央りお
兄さん、知ってます?
最近、猟奇グラフという雑誌、
すごく流行ってるんです。
西洋の猟奇事件を取り上げたり、
心中事件を掘り下げたり、
怪人のことも載ってます。
この雑誌読んで、怪人に憧れる人、
出てきたりしないか心配です。

そこへ足取りも軽く、九頭くず幸則ゆきのりが姿を現した。

九頭くず幸則ゆきのり
よう、風魔ふうま、久しぶりだな。
喪神もがみ梨央りお
ああ、もう!
びっくりした!
――幸則さんだったのね!
九頭くず幸則ゆきのり
だったのねはないよなぁ~
喪神もがみ梨央りお
もしかして、おひまなんですか?
それとも地上じゃおひとりで
お寂しいんですの?
九頭くず幸則ゆきのり
どうしたんだい、今日は。
剣突けんつくらわすようなこと言って……
喪神もがみ梨央りお
そんなつもりじゃ――
今、猟奇グラフの話、
してたんです!
九頭くず幸則ゆきのり
そこへ俺が来たもんだから、
縮み上がったってわけ?
喪神もがみ梨央りお
そんなんじゃないです!
九頭くず幸則ゆきのり
何も気まぐれで来たわけじゃない。
帆村ほむら先生に呼ばれたんだよ。
帆村ほむら魯公ろこう
ただいま――今戻ったぞ。
おお、ユキ坊も到着したか。
これはちょうどよかった。
九頭くず幸則ゆきのり
帆村先生、だから
ユキ坊は勘弁してくださいよ。
帆村ほむら魯公ろこう
まあ、いいじゃないか。
昔から家族同然の付き合いだ。
それより来て貰ったのは他でもない。
中野なかの新井薬師あらいやくし様の辺りで
妖怪が出たという噂がある。
猟奇グラフという雑誌だ、
それに載っていた記事だよ。
九頭中尉に風魔に同行願おうと思う。
喪神もがみ梨央りお
ええ、猟奇グラフですか?
今、その話をしていたのです。
それで、怪異の場所は中野なかのですか?
帆村ほむら魯公ろこう
戸山とやま二探にたんだ。
だが中野なかのまでは探信たんしんできん、
そう言いたいのだろ?
喪神もがみ梨央りお
はい。設置型の探信儀たんしんぎとはいえ、
通常の探信たんしん範囲は五キロ……
中野なかのまでは探信たんしんできません。
帆村ほむら魯公ろこう
承知の上だよ、梨央りお
実は二探の出力を上げたのだ。
飯倉いいくら技研に頼み込んでな!
今なら中野なかの辺りも探信たんしんできる。
――ただいつ止まるやも知れん。
事情は飲み込めたかな、ユキ坊。
九頭くず幸則ゆきのり
――なるほど。
私は風魔の護衛兼通信兵ですか。
まぁ、お安い御用です。
喪神もがみ梨央りお
お二人は公務電車で省線新宿しょうせんしんじゅく駅まで。
新宿に鉄道連隊の演習列車を
回しますので乗り換えてください。

新井薬師あらいやくし

新井薬師あらいやくしは、省線中野しょうせんなかの駅から北へ二十分ほどのどかな風景をながめながら歩いたところにある。
新たに井戸を掘り当てたことによりこの地は新井あらいと名付けられた。

九頭くず幸則ゆきのり
もう日没も間近というのに
けっこうにぎわってるなあ。
こんな郊外こうがいでたいしたもんだ。
なんか小腹が空かないか?
でも、団子くらいしかなさそうだな。
駅前で売ってたシベリア
買っときゃあよかったぜ。
な、風魔ふうま
【着信 喪神もがみ梨央りお
物見遊山ものみゆさんじゃないのです。
任務を終えてからにしてください。
セヒラ反応を感知しました。
黒ノ八号帥士くろのはちごうすいし
警戒して進んでください。
九頭くず幸則ゆきのり
おお梨央りおちゃん!
ちゃんと探信たんしんできているみたいだね。
【着信 喪神もがみ梨央りお
呑気のんきなことを言う場合ではないです。
セヒラ反応があるということは
近くに怪人がいるということです!

【農家の娘】
薬師やくしさんのお水は
眼病にも効くんでね。
じいちゃんが目に出来もんこさえたんでこれで洗ってやるのよ。

【僧侶】
こちらは真言宗豊山ぶざん派、
寺号は新井山、
梅照院薬王寺ばいしょういんやくおうじと申します。
開祖かいそ空海くうかい上人手づから
彫り上げたという伝説の秘仏ひぶつ
薬師如来やくしにょらい如意輪にょいりん観音像がご本尊。
徳川二代将軍秀忠ひでただが娘の眼病を
祈願に応え快癒かいゆせしえにしにより、
目の薬師やくし様とあがめられているのです。

【和服婦人】
薬師やくしさんのお水でご飯も炊くし、
御味御付おみおつけも作るし、お茶も頂くの。
だからいつまでも肌が若いねって。
オホホホホホ……

【母親】
お化けだの、妖怪だの、まあくん、
もう見えるなんて言わせませんよ!
薬師如来やくしにょらいさまにお願いするのよ!
【まあくん】
お化けなんかじゃないよ、
悪魔が見えるんだ!
うそじゃないよ、ホントだって!
九頭くず幸則ゆきのり
あの子、様子が変だぞ、
悪魔がどうしたって――
【着信 喪神もがみ梨央りお
不安定なセヒラ反応を確認!
黒ノ八号帥士くろのはちごうすいし、要警戒です!

【母親】
薬師如来やくしにょらいさまの竜水は、
とっても効くのよ、まあくん!
【まあくん】
ひぃひぃひぃ~
嫌だよう、竜水なんか、嫌だ!!
【母親】
聞き分けなさい、まあくん!
さぁ、早く、お水を頂くのよ。
その目をきれいにするの!!
【まあくん】
うぎうぎうぎ~
九頭くず幸則ゆきのり
おい、見ろよ、風魔ふうま
あいつ、怪人なんじゃないのか?
【母親】
さぁ、飲むのよ!
そしてその目も洗うのよ!
ぐずぐずしないで、まあくん!!
【着信 喪神もがみ梨央りお
セヒラ反応、
急激に強くなっています!

【母親】
あら、いい子ねぇ~
それで、気分はどうなの?
ちょっとは良くなったかしら?
【まあくん】
わかんないけど……
なんか、すっきりしたよ――
【母親】
そう、良かったわねぇ~まあくん!
だったらもうお化けだの何だのって、
金輪際こんりんざい、騒がないで頂戴ちょうだいね!

九頭くず幸則ゆきのり
おおお!
怪人かと思ったけど、
そうはならなかった!
【着信 喪神もがみ梨央りお
セヒラ反応、低下しました。
でも、まだ反応があります。
安全な状態ではありません。
九頭くず幸則ゆきのり
不思議な場面に出食わしたな……
あいつ、怪人になると思ったけど――
これも竜水のおかげなのか?
新山眞にいやままこと
もしや、セヒラを抑える気も、
めぐっているのでしょうか?
九頭くず幸則ゆきのり
あなたは……
新山眞にいやままこと
陸軍飯倉いいくら技研の新山にいやまです。
セヒラ探信儀たんしんぎの開発で、
陸軍にはお世話になっています。
新山眞にいやままこと
山王さんのう機関の依頼で戸山とやま二探にたん
出力を上げたわけですが……
様子はどんなものですか?
九頭くず幸則ゆきのり
しっかり探信たんしんできています。
――セヒラ反応があるようです。
新山眞にいやままこと
セヒラと言うのはすなわち悪ではない、
私はそう考えています。
セヒラ技術、さらに開発すれば、
良い方向に向けることも可能です。
九頭くず幸則ゆきのり
セヒラって悪い気の流れですよ、
それをどうやって良い方向に、
持っていくのですか?
新山眞にいやままこと
セヒラは人の悪意を増長します。
その原理から、悪意を除去する、
そういうこともできるでしょう。
錯乱さくらん憂鬱ゆううつ症など神経の病も、
セヒラを利用して治療できる、
そんな時代が来るでしょう。
九頭くず幸則ゆきのり
なるほど――
目には目をの理屈ですね。
新山眞にいやままこと
私も携行けいこうセヒラ探信儀たんしんぎを持ちます。
この辺りをちょっと調べて見ますよ。
九頭くず幸則ゆきのり
セヒラの反応、あると言います。
警戒するに越したことはないですよ。

【檀家の男】
帝都じゃ怪人だ何だって、
やかましいね!
でもここでは問題ない!
薬師やくし様のおかげで、ここには、
清い霊気が流れておる!
ただ……
哲学堂てつがくどうのほうに噂があるけれどね。

哲学堂てつがくどうおか

日本を代表する哲学者井上円了いのうええんりょうによって建立された哲学堂てつがくどうこと四聖堂しせいどう
そこには、哲学の四大聖人、ソクラテス、釈迦シャカ孔子コウシ、カントがまつられている。
辺りはとっぷりと日も暮れてきた。
門の左右からは二体の立像りゅうぞう、幽霊像と天狗像がこちらをにらむ。
苑内えんないには挙動のおかしな者が大勢いた。
ある者は大きな身振りを繰り返し、ある者は体を折って何かをつぶやいていた――

【着信 喪神もがみ梨央りお
黒ノ八号帥士くろのはちごうすいし
哲学堂界隈かいわいでセヒラ増大しています。
様子を確認してください。
九頭くず幸則ゆきのり
様子と言ってもね……
これは変としか言いようがないな。
ここの連中、
どうしちまったんだ、一体?
【着信 喪神もがみ梨央りお
黒ノ八号帥士くろのはちごうすいし
近くに複数の怪人を確認!
落ち着いて鎮定ちんていにあたってください。

【怪しい動きの男】
投げてやる、投げてやる、
くー、投げてやるんだ!!
車を投げる、俺もできたぞ!
昨日も投げた、今日も投げた、
毎日だ!! 毎日新鮮!!
九頭くず幸則ゆきのり
そもそも哲学堂てつがくどう自体が
あやかしの気をほしいままにする場所だからなぁ~
セヒラによって、
怪しさ炸裂さくれつだよな!

【怪しい動きの男】
ちゅばー!
どっかーん!
うへへ、爆発だ!
俺の力は百万馬力ひゃくまんばりき!!

《バトル》

【怪しい動きの男】
はぁ~
眠い眠い……
また街を彷徨さまようのか、俺は!
九頭くず幸則ゆきのり
怪人には車投げるのが、
流行はやっているのか?

【犬き】
ウー……
ワン! ワンワンワン!
九頭くず幸則ゆきのり
何だよ、こいつは……
もしや、犬きなのか?

【犬き】
忠犬ハチ公をしのぶ人たちの思念が、
私を目覚めさせたのです――
どこに行こうかと考えていたら、
この人が見えました。
この人には隙間すきまがありますね!

《バトル》

【犬き】
隙間すきまが……閉じようとしています……
また、別な人を……探します。
ちなみに私は名無しです――

【中野の客】
誘われて、銀座幻燈会げんとうえに行きました。
誘ってくれた靖子やすこちゃん、
以来、行方不明なんです。
私も、幻燈会げんとうえの帰り、
省線有楽町しょうせんゆうらくちょうの駅がわからなくなり、
見当識けんとうしきを無くしました――
気付いたら三原橋みはらばしの電停に……
それで家に帰れました。
靖子やすこちゃん、どうしたのでしょうか。

【着信 帆村ほむら魯公ろこう
どうだ、風魔ふうま
この人は怪人じゃないようだ。
幻燈会げんとうえっていうのも怪しいな!

【猫き】
ニャァ~
猫じゃ、猫じゃ~
……
アンタ、久しぶりだにゃ!
オイラだよ、猫の徳次郎とくじろうだにゃ。

【猫き】
この人にもおっきな隙間すきま、あるにゃ!
またアンタにふさがれるのかにゃ!

《バトル》

【猫き】
あんじょうだにゃ!
隙間すきまが……閉じる、閉じる……
また別の人を探すにゃよ。

内田百間うちだひゃっけん
豊島とよしま与志雄よしおと言う作家に、
都会の幽気ゆうきなる短編がある――
ここはまさに幽気ゆうき満ちているなぁ~
九頭くず幸則ゆきのり
えーっと……
どなたですか?
――見たことあるような……
内田百間うちだひゃっけん
私は内田百間うちだひゃっけんといいます。
そちらの方には、以前、若松町わかまつちょうで。
――しかし、ここはすごいですね!
九頭くず幸則ゆきのり
何だ、風魔ふうまと知り合いですか。
それで、なんで、ここ哲学堂が、
怪しいことになっているのですか?
内田百間うちだひゃっけん
まさか、ここがこんなにも、
瘴気しょうきの強い場所だとは、
想像だにせなんだのです――
いやはや、私としたことが……
こんな事態を招くとは!
九頭くず幸則ゆきのり
何かしたんですか?
――そうなんですね!
内田百間うちだひゃっけん
ちょっとした出来心でした。
合羽坂かっぱざか陋屋ろうおくに暮らす、
しがない文筆屋ぶんぴつやの出来心です――
九頭くず幸則ゆきのり
ということは、
百間ひゃっけん先生、あなたが元凶ですか?
内田百間うちだひゃっけん
私ね、猟奇グラフという雑誌に、
帝都の妖怪たんを寄稿したのです。
面白おかしく、興味を引くようにね。
九頭くず幸則ゆきのり
さっき本部で話題になってた、
あの雑誌か!
内田百間うちだひゃっけん
するとどうだ!
井上円了いのうええんりょう先生のこの園に、
げんあらわれた!!
九頭くず幸則ゆきのり
ああ、まぁ、そうだな……
妖気というかあやかしかれた、
そんな連中だったな。
内田百間うちだひゃっけん
だが、妖怪は妖怪、
一片でも妖しさがあれば妖怪です。
私は妖怪どもに言って、
ここを去らせます。
さぁ、け、元の場所に帰れ~
け~ 帰れ~

九頭くず幸則ゆきのり
……
ん? 去ったのか?
内田百間うちだひゃっけん
どうも、そのようです。
【着信 喪神もがみ梨央りお
セヒラの値、急速に低下しました。
内田百間うちだひゃっけん
私はここに残り、
この人達に気付きを与える。
――いやぁ、お騒がせしました。

山王機関本部さんのうきかんほんぶ

帆村ほむら魯公ろこう
またもや、内田百間うちだひゃっけん
なかなか隅に置けない文士だわ!
九頭くず幸則ゆきのり
妖怪騒動の張本人、
結局は怪人化をそそのかしただけ――
そうではないですか?
喪神もがみ梨央りお
記事を読んだ人が興味本位に、
哲学堂に集まり、そこで怪人化した、
そういうことですね?
九頭くず幸則ゆきのり
憎しみや怒りだけじゃない。
ちょっとした好奇心や、
心のりよう次第しだいで怪人化する――
喪神もがみ梨央りお
場所が哲学堂というのも、
意味があるように思います。
あそこ、普通じゃないです――
帆村ほむら魯公ろこう
そうだな。哲学堂は特別な場所。
元々、多くの思念の残留があるはず。
それらも勘定に入れないとな。
喪神もがみ梨央りお
それより幸則ゆきのりさん、
シベリア、私の分、ありますよね?
九頭くず幸則ゆきのり
あ、しまった……
喪神もがみ梨央りお
ずるい、自分たちだけ買い食いして!
帆村ほむら魯公ろこう
いやいや、
今日は遅くまでみなご苦労だった。
これから赤坂あかさかで晩飯をおごろう。
喪神もがみ梨央りお
やったー
じゃあ、私は……
天婦羅てんぷら! すき焼き!
九頭くず幸則ゆきのり
さっすが、先生!!
士官食堂の蘭亭らんていの仕出し弁当に、
いい加減飽きたところです!

第一章 第四話 妖怪坂

山王機関本部さんのうきかんほんぶ

喪神もがみ梨央りお
兄さん、牛込うしごめ署から第一連隊だいいちれんたい
報告があったそうです。
――巡視パトロールが必要かと……
その報告ですが、
いつもと様子が違うんです――
帆村ほむら魯公ろこう
妖怪ようかいを見たと、そういうんじゃよ。
近代国家になって、
七十年にならんとするが、
まだあやかしが潜んでおるのか……
喪神もがみ梨央りお
隊長、あくまで、報告です。
確認できたわけじゃないです――
帆村ほむら魯公ろこう
だがな、街を歩けば、
まだ方々に江戸の闇が残る――
そんなお江戸を残す片隅かたすみに、
百鬼夜行ひゃっきやこう有象無象うぞうむぞうがいても、
おかしくはないだろう。
喪神もがみ梨央りお
そうかも知れませんが、
この近代的モダンな時代に妖怪だなんて。
なんか、似合いません。
帆村ほむら魯公ろこう
明治の末期に起きた、
千里眼せんりがん事件は知っておるか?
催眠さいみん術や透視とうし術を科学者が検証し、
結論、それらは科学にあらずとした。
だが、大正期を通じて霊異りょういへの関心、
依然いぜん、くすぶり続けておるんだよ。
芥川龍之介あくたがわりゅうのすけ幽霊ゆうれいについての考察を、とある雑誌に寄せておる。
皆が興味を持つもの、求めるもの、
そういうのがひょいと現れる、
それが今の帝都の状況だろう。
今回の調査依頼いらいも裏に何かあるぞ。
妖怪ようかいとやらが目撃されたのは、
えーっと、梨央りお、どこであったか?
喪神もがみ梨央りお
紀伊国坂きのくにざかです、赤坂見附あかさかみつけから、
四谷よつやに登る、外堀そとぼりに沿った道です。
帆村ほむら魯公ろこう
目撃はちょうど日の入り時分じぶん……
そのこく逢魔おうまどきというからな。
おお! ちょうど今だ、風魔ふうま!!

紀伊国坂きのくにざか

赤坂見附あかさかみつけから北へ、
登り坂の電車通がある。
そこは紀伊国坂きのくにざかと呼ばれている。
暮れなずむ時刻、
鬱蒼うっそうとした屋敷林やしきりんの陰で、
あたりはすでに夜の側にいるようであった。

【四谷の娘】
怖い目にったら、人生よろづ相談。
――私の読む猟奇りょうき婦人の最新号に、
そんな案内がありましたわ。

【繊維問屋のサラリーマン】
新聞に載ってた妖怪譚ようかいたん
確か紀伊国坂きのくにざかでしたよね。
でも正体は
怪人かいじんかもしれませんね……

【船会社のサラリーマン】
さっき興亜日報こうあにっぽうの記者がいたよ。
妖怪のこと、特集組むんだって。
興亜日報こうあにっぽうって
新京シンキョウに本社があるよね。
妖怪見たかってかれたけど、
僕は駄目だ、見ちゃいないんだ。
でも前の怪人特集、面白かった、
そう言ったら、喜んでいたよ。
あれは力の入った特集だったよね!
それじゃ、僕は用事があるんで。
失敬しっけい

【呉服商の妾】
ひどい……
あんまりだわ――
あの男……
自分のあきないが左前だからって
私を疫病やくびょう神呼ばわりするなんて!
きっと……きっと……
あの高利貸しのところの娘と
ねんごろになったに違いない!!
あああ、畜生ちくしょう
ゆるさないわ!

【呉服商の妾】
あの男!
絶対にゆるさない!!

《バトル》

【呉服商の妾】
一体、どうしたのかしらね。
アタシ、時々血がのぼって……
何だか、疲れたわ。

【省線貨物の車掌】
私ね、肺病の妹がうとましくてね。
血を分けた兄妹きょうだいなのにね、
どうしてそう思うのか――
一人悩んでも解決しませんよね。
それで神田かんだの相談所に行きました。
ラヂオで宣伝せんでんする人生よろづ相談。

【省線貨物の車掌】
そしたらね、そんな死にかけには、
カルモチン盛りなさいって。
だからね、私ね、盛ってやりました!
カルモチン、一びん、丸々とね。
あの妹はね、目玉、ギロギロさせて、
オホホホ~、見ものでしたよ!!

《バトル》

【省線貨物の車掌】
妹が死んだだけで、私の中では、
何も解決していない気もします。
人生よろづ相談、どうなんです?

【巡査】
おい、コラ!
さっきからここで何してる?
あっ、これは失礼しました。
その徽章きしょう山王さんのう機関の方でしたか。
ご苦労さまです。
この辺にあやかしの出る噂があって、
巡視パトロールするように命が下りました。
今のところ、何もありません。
ただ、ここではなく市ヶ谷いちがや
怪異かいいを見たという話を聞きました。
この情報が、
何かのお役に立てば良いのですが。

若松町わかまつちょう

市ヶ谷いちがやにほど近い若松町わかまつちょう
屋敷林がなお残るこの界隈かいわい
人影もまばらでうら寂しい。

【着信 喪神もがみ梨央りお
黒ノ八号帥士くろのはちごうすいし
市ヶ谷いちがや周辺のセヒラ濃度高いです。
警戒して下さい。

【貿易会社のサラリーマン】
実は生霊いきりょうだったりしますよ、
幽霊は。
今月号の猟奇りょうきグラフは生霊特集です。
さっそく私も生霊狩りに来たわけで。
さぁて、どの辺に出るんでしょうか、
見たら九字くじを切って撃退します。
その顛末てんまつ寄稿きこうするんです!

【近所の少年】
お兄さん、軍の人?
この近くにある合羽坂かっぱざかだけど、
去年の地図では消えてるんだ。
姉貴あねきに尋ねると、
士官学校があるから消すんだって。
何か秘密でもあるの?

【おかしな男】
ニャァ~ニャァ~
……ニャァ……

アンタには、オイラがわかるニャ?
――そういう人もいるニャか!
こりゃ驚きだニャ~
この人には隙間すきまがあるニャ。
オイラ、その隙間すきまに入ったニャよ!
なかなか、快適ニャ!
人間は背が高いニャね!
普段の景色も違って見えるニャ。
いつもえさくれるトメばぁさんが、
やけに小さく見えたニャ……
婆さんのせがれ日露戦争にちろせんそうで死んだニャ。
――アンタ、この隙間すきま閉じないと、
この人は他人に迷惑かけるにゃ!
オイラのことは気にしなくていい、
早く隙間すきまを閉じるにゃ!

《バトル》

【おかしな男】
アンタ、すごいニャ!
オイラ猫の徳次郎とくじろうニャ、
またどこかで会うニャんね!

ふぅ~
何だかくたびれた……
随分ずいぶん歩いた……
市ヶ谷いちがやからずんずん登り、
ここは若松町わかまつちょうですかな?
さて、私は……
いやね、小一時間も歩いた、
歩きに歩いたわけです。
頭ン中がなかうつろになって、
ただひたすら歩きました――
うつろ歩きと名付けましょうか。

内田百間うちだひゃっけん
ああ、申し遅れました、
僕は内田うちだ百間ひゃっけんといいます。
物書きのはしくれですよ――
もしや貴方は軍の方?
怪人騒動、軍の特務が鎮定ちんていすると、
作家仲間ではうわさですよ――
――私がうつろになったのは、
ひょっとするとこの本のせいかも。
神田かんだの古書店で求めたものです。
人をして怪人ならしめる、
そういう本のあることも、
作家仲間に伝わります……
この本、どうなんでしょうか?
私のうつろ歩き、この本のせいでは?
何だか気になってきました!
中身は皆目かいもく――
どうですか、お持ちくださいますか?
よくよく、研究してください。

内田百間うちだひゃっけんが差し出した古書は、
留め具のある立派な革の装丁そうていをしており、由緒ある書物のようであった――

内田百間うちだひゃっけん
貴方とはご縁がありそうです。
またお会いできるでしょう。
いやね、ただの作家の勘ですが――
【着信 喪神もがみ梨央りお
若松町わかまつちょうの辺り、
セヒラは観測されません。
もう大丈夫かと思います。

山王機関本部さんのうきかんほんぶ

帆村ほむら魯公ろこう
あの内田百間うちだひゃっけんに会うとは!
一昨年おととし百鬼園随筆ひゃっきえんずいひつで、
一気に人気に火がついた先生だ。
夏目なつめ漱石そうせきの門下で、
芥川龍之介あくたがわりゅうのすけとも交流をお持ちだ。
それにしても……
作家先生らは耳聡みみざといなぁ。
本のことも聞き及んでいるとは――
それで、本のせいでうつろになったと、
そう言うんだな……
あの辺りを小一時間も歩いたと。
かつて百間ひゃっけん先生、
砲工学校で教えていたからな、
若松町わかまつちょうの土地勘は十分だろうが。
その本、早速、鑑定を頼もう。
帝大のつた博士に連絡するぞ――
本がゴエティアであればだが、
百間ひゃっけん先生、なかなか興味深いことになりそうだのう――

内田百間うちだひゃっけん

 随筆や独特の雰囲気を持つ怪談調の小説が人気を博している流行作家。やはり何かしら感ずるものがあるのか、神田の古書店でゴエティア偽典を購入していたり、喪神特務中尉がタクシーと化した怪人と遭遇した所に現れたりする。その際には心の隙間に猫が入り猫憑き状態で歩いていたが、廓清すると一番にその状態に「虚ろ歩き」との名前をつけるあたり、泰然自若とした人のようだ。




第二章 第四話 妖怪大戦